人生は嘘から始まるという話。
自分の性格、劣等感や優越感、世界の捉え方、そういったものは嘘かもしれません。
それを理解するために、こころの発達を、新しい脳と古い脳の2つに分けて考えてみます。
理性や論理、思考や言語を司るのが新しい脳(大脳新皮質)。
快・不快、短期記憶、動機づけなどと関係するのが古い脳(大脳辺縁系)。
単純に、新しい脳を理性、古い脳を感情と言い換えてもいいでしょう。
発達の順番は、その名の通り、古い脳が先で、新しい脳が後です。
子どもの頃は、まだ新しい脳が十分に育っていない状態。
だから、子どもの価値判断は、ほとんど古い脳(感情)を通してなされます。
私たちは、0歳〜6歳くらいまでの間に、性格や基本的な人間関係の型を構築すると言われています。
とすると、私たちの初期設定は、感情脳を通して作られるということ。
親や周りの人に完全に依存している状態で、関係性を学んでいくしかないのです。
これは、被害者意識(受け身意識)がデフォルト状態ということなんです。
これって、当たり前のようでいて、実はすごいことなんです。
つまり、人生は錯覚(嘘)から始まらざるを得ないということだからです。
だけど、子ども時代を振り返ると、自分はもっといろいろなことがわかっていたような気がしませんか?
なんなら、かわいそうな親を自分が助けていたような気すらします。
でも、想像してみてください。古い脳しかもっていないということを。
本当の意味で、両親や周りを理解できるでしょうか?
いいえ、無理だと思うのです。
大人がどのような気持ちでいたかなんて、子どものときは想像すらできなかったはずです。
ないものはないからです。
例えば3歳だとしたら、3年しか生きていないのですから。
それなのに、なんだか自分はわかっていたような気がします。
これも錯覚です。
なんとなく大人を理解できていたと感じるのは、脳が発達した後の現在のフィルターを通して思い出すからです。
もちろん、古い脳が悪いと言いたいのではありません。
むしろ、十分に古い脳をやりきることで、新しい脳が育つ土壌ができるとも言えます。
たいてい、体験からの知恵を加えながら、こころは成長し、発達を続けます。
でも、強烈に信じ込んだ(感情が傷ついた)出来事があると、それ以上成長しないこころの部分が生じるのです。
するとそのまま、古いパターンを繰り返します。
それが人生でうまくいかない分野となります。
だから、人生は嘘から始まると知っておくことが大切なんです。
完全な受け身(依存状態)から人生が始まる。
そんな人が、正確に物事を判断できるわけがありません。
受け身意識を排除しなければ、新しい脳が発達しないのです。
今、深いレベルで、目覚めが起こっています。
変化するということは、何かをやめて、何かを始めるということです。
それは容易に、不安や焦りも呼び起こします。
そのとき、古い脳が騒ぎ出すんです。
そして、また嘘をばらまき始めます。
「恐い、恐い、先が見えない!」
「これまで通りでいいじゃない!」
「ひどい、私ばっかり!」
そう騒ぐのは、古い脳です。
今、一人でいることが多いかもしれません。
いろいろなことが止まっています。
これまで、仕方なくやっていたことや我慢してきた人間関係が強制終了となった人もいるでしょう。
嘘がつけなくなったのです。
本当の自分とはなにか。これからどんな世界を創造するのか。
人生は嘘から始まっているからこそ、この問を自分に向けなくてはいけなくなるときが来ます。
小さな自己像で満足する生き方から卒業するときが、誰の人生にも訪れます。
今こそ、もっと自分を勇気づけましょう。