入れ替わり立ち替わり、君は深まる

突然、自分が他人の身体と入れ替わってしまったらと空想したことはありませんか。

「身体と心が入れ替わる」というテーマは、映画やドラマ(小説)で何度も繰り返されているとても人気のある設定です。

例えば、3年ほど前、世界でも大ヒットしたアニメ映画「君の名は。」は、この王道の「入れ替え」モチーフを使った映画でした。

映画の主人公は、都心に住む高校生、立花瀧と、山深い田舎に住む高校生、宮水三葉。出会うことがない対照的な二人です。

映画の冒頭で、「男女の入れ替わり」が唐突におこります。ある朝おきてみると、心と身体が入れ替わっているのです。

男性にとって、かわいらしい女性の身体に入って一日過ごしてみるのは夢かもしれませんね。女の子の身体、日常、そういったものを垣間見てみたい。嫌がられずに女の子の身体を触ってみたい。妄想が心をくすぐります。

「君の名は。」でも、夢(ゆめ)か現(うつつ)かわからないうちに、入れ替わりが繰り返されていきます。

やがて、面白いことに気づきました。

瀧や三葉は、自分自身であるときは、あまり魅力的でないのです。瀧は、一面的で、深みのないステレオタイプの男の子だし、三葉は、男性目線のおとなしい女の子に描かれています。

あえて、個性を描かないようにしているのでしょうが、この二人が入れ替わらず、ただ出会って恋愛する物語だったら、あれほどヒットしなかったかもしれません。

映画では、入れ替わり立ち替わりの葛藤がずっと続いていきます。

瀧の心を持った三葉。
三葉の心を持った瀧。

二人は悩み、葛藤し、やがて内側からキラキラしはじめます。
徐々に魅力的になっていくのです。

女性の中に、男性の視点が、男性の中に、女性の視点が入ると、ちょうどいい感じに中和されて人間の深みが増すのです。真逆のものを入れるのも、時にはいいかもしれませんね。

 

これまでも、入れ替わりドラマはたくさんありました。

男の子と女の子
父親と娘
夫の愛人と正妻
高校生と医者
やくざと児童相談員
総理と大学生
貧乏人と金持ち

設定はさまざまですが、共通することはギャップ。

全く異質、もしくは嫌悪している対象のポジションに自分がなるということは、誰にとっても嫌なことです。でも、入れ替わった相手の生活をなんとか過ごすうちに、相手の深い心情に触れ、共感できるようになるのです。

それは、視野が広がった証拠。

自分の視点(心)を持ちながら、相手の立場から世界を見るとき、自分が見えていなかったものがようやくわかります。その気づきは、人を短時間で変える力があります。
だから、このテーマは、非常に好まれるのでしょう。

 

実は、この方法は、フラクタル心理カウンセリングの現場でもよく使われます。

私は密かに「入れ替わり立ち替わりの法」と呼んでいます。

フラクタル心理学のインナーチャイルド修正法では、現在の問題の種を探しに、子ども時代に戻るイメージをします。そこで、お母さんやお父さんの身体の中に入って、大人の視点で、もう一度子どもの自分や出来事を見るのです。

これは、問題を起こしている子ども(=未熟で視野が狭い)の視点に、大人(=成熟していて視野が広い)の視点を入れることで、自分の勘違いに気づけるようにしているのです。すると、ようやく新しい選択ができるようになります。

フラクタル心理学は、機能不全を起こしている思考パターンに、より広い(大人)視野を取り入れることで解決へと導きます。それは、一元の理論を元にしているからこそできるのです。時空に見えている相手は、自分の深層意識(未来)だからこそ、相手の視点を取り入れても安全です。

以前、ご主人との関係に悩んでいる女性に、イメージで夫になりきってもらい、夫の視点で、目の前の妻(相談者)を見てもらったことがあります。

しばらくして、彼女は笑い出しました。とても可笑しそうに、涙を流しながら。

こんな女と結婚する男はすごいと実感したのです。

それ以来、夫に感謝できるようになりました。

これは、彼女にしっかりと大人の視点があったからこそ、夫の素晴らしさに気づくことができた例です。

敵(嫌いな人)の視点で一度自分を見てみる。

視野を広げると、それは敵ではないのかもしれません。

 

 

あなたも、「入れ替わり立ち替わりの法」を実践してみませんか。